コラム/ columns
東京外科クリニックでは2023年8月をもって成人鼠径ヘルニアの手術症例の日帰り手術が3885例を超えました。
(2015年11月の開院以来、一度に両側手術を行ったものは1とカウント。大橋院長の前任地での症例約1,000例を除く)
麻酔チームと術後看護チームの協力により、ほとんどの患者さまがご自身の足で手術後2時間以内にお帰りになります。
ご帰宅許可を差し上げるまでに時間がかかる事象が万が一生じた場合も、十分に経過をみて差し上げられる体制を備えております。
全症例数:3885例
手術後の回復状況
- 手術室退室から飲水まで:平均10分
- 手術室退室から歩行まで:平均34分
- 手術室退室からクリニックを出るまで:平均63.1分
データ詳細
合併症に関しても全て公開しています。以下にあげる合併症のほとんどは軽症であり、ご心配いただくべきものではありませんが、
最も大切なことは患者様の運命が悪いほうに変わってしまうことがないようにすること。
いかなる合併症にも適切に対応するように心掛けてきました。
結果として、現時点、回復不能な後遺症につながる事象は発生していません。
詳細
手術時間(分)63.8
麻酔時間(分) 92.5
術後在院時間(分) 66.4
退院時の疼痛(NRS) 1.8
術中合併症 8
喘息発作 3
蕁麻疹 3
アナフィラキシーショック 1
血管損傷 1 術中に修復可能。
腸管損傷 1 癒着が高度であったため。術中に修復可能。
膀胱損傷 0
輸精管損傷0
鼠径部切開法への移行 0 (最初から切開を行う計画であったものを除く)
うち入院が必要となった症例 喘息発作2 アナフィラキシーショック1
(2018年3月以降、入院を要する合併症は発生していません)
術直後合併症
嘔気 112(2.8%)
シバリング 120(3.1%)
高血圧 12(0.3%)
低血圧 4(0.1%)
めまい 4(0.1%)
覚醒遅延 4(0.1%)
一定の割合で生じますが、多くは軽症で、これら術直後合併症が日帰り困難の理由となったケースはありません。
術後合併症
漿液腫 160(4.0%)
慢性疼痛 16(0.4%)
手術部位感染 12(0.3%)
血腫 2(0.05%)
ヘルニア再発 2(0.05%)
ポートサイトヘルニア 1(0.1%)
腎不全 1(0.1%)
メッシュ感染 0
腹膜縫合不全・腸閉塞 0
緊急再手術を要した症例0
ヘルニア手術で最も重大とされるのは腹膜縫合不全です。当院では術中の確認をくまなく行うことにより1例も生じていません。
漿液腫は元々のヘルニアが大きい症例に発生します。多くは自然に治癒します。詳しくは別のコラムで解説しています。
手術部位感染により、キズの治りが遅れることがあります。
発生しても大概は2週ほどでよくなります。1か月以上の期間通院を要したケースが1例のみありました。
24時間対応可能の院長直通電話番号を手術後の患者様全てにお知らせしています。
しかし、ご帰宅当日緊急で往診を要したケースはなく、帰宅許可を差し上げた以降は重大な事象は発生していないことになります。
手術後の痛みについての調査
手術後の痛みをVAS(Visual Analog Scale)を用いて測定しました。
VASは手術後の痛みの指標で、まったく痛みのない状態を0、痛みの最大値を10とし、患者さまの感覚に一番近い値を選択してもらいます。
経過時間/平均VAS
- 術直後:0.4
- 1時間後:1.8
- 2時間後:2.2
咳き込んだり、腹部に力が入る際には2、3日、痛みが生じることはありますが、ご自身の足で帰宅するのに支障のない水準が保たれています。